JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

犬の病気ニキビダニ症(毛包虫症、デモデックス症)

原因

ニキビダニが毛穴(毛包)の中に寄生して起こす皮膚炎。ニキビダニは正常の犬の皮膚にも少数認められるが、ふつうは病気の原因とならない。生後まもなく母犬から子犬に感染するが、最初は鼻の頭の部分にみられるので、哺乳する際に母親と直接接触して、ニキビダニをもらうのだろうと考えられている。ニキビダニによる皮膚炎は、円形脱毛のように局所性に出る場合と、全身性に出る場合がある。さらに3-12カ月齢で発症する若年性の病気と、5歳以降で発症する成犬のニキビダニ症がある。ニキビダニ症は特定の犬種で遺伝的に好発傾向を持っている。子犬ではオールドイングリッシュシープドッグ、コリー、アフガンハウンド、ジャーマンシェパードに多く、成犬のものではコッカースパニエルに多い。それに対してプードルでは非常にまれである。また成犬で発症する場合には、甲状腺機能低下症、癌などの免疫が低下する重大な病気が引き金になっていることが多い。

症状

局所性のものでは円形の脱毛とふけ、あるいは発赤で、痒みは少なく、頭部と四肢によくみられる。全身性のものでは、皮膚の肥厚、黒色化、はげしいふけ、かさぶたなどがみられ、かゆみも激しい。さらにかゆみに対するかきむしり、二次的な細菌感染でさらに悪化して、膿皮症の外観となることも多い。

治療

毛刈りと殺ダニ剤の薬浴で治療する。脂漏症や膿皮症があれば同時に治療する。また、成犬や老犬の場合、基礎にある疾患を発見し治療することが重要である。