JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

犬の病気膿皮症(皮膚の細菌感染)

原因

ブドウ球菌を主体とする細菌が皮膚に感染した結果起こる皮膚病で、皮膚の表面に近い場所のみのもの、皮膚の深い部分にできるもの、足先だけ、鼻の部分だけ、あるいは全身にできるものまで様々である。アトピーや脂漏症、クッシング症候群、甲状腺機能低下症といった皮膚の状態や免疫の状態を変える基礎疾患や、ニキビダニ症などの皮膚の寄生虫疾患が引き金になることが多いが、ジャーマンシェパードの全身性膿皮症のように原因が不明なものもある。

症状

軽いものでは皮膚の丘疹や膿疱といった小型の病変や、古くなった病巣ではリング状に薄皮がむけたようになる表皮小環(人間の皮膚のカビによる病変と間違えないように)がみられる。毛包が細菌感染を起こしたものである。かゆみの程度は様々である。子犬に発生する浅い膿皮症は膿痂疹と呼ばれ、腹部など毛の薄いところに小型の膿疱ができる。深い部分にできた激しいものでは、皮下に広く広がり、瘻管とよばれる穴が皮膚に無数にあいて、膿が分泌される。瘻管の部分が広がって潰瘍になることもある。このような皮膚は悪臭を放つ。

治療

殺菌性シャンプーで皮膚を清潔に保ち、必要ならば毛刈りを行い、抗生物質を最低でも3週間は投与する。人間に比べて抗生物質の投与量はかなり多めなので、大型犬ではかなりの量になる。基礎疾患が明らかな場合はその治療も必要である。深い部分の膿皮症や原因不明のものは治りにくく、抗生物質の投与も数カ月の単位で必要となる。