JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

獣医師・動物看護師の責務と喜び

2021年2月22日 日本臨床獣医学フォーラム 会長竹村 直行

 石田卓夫先生の跡を継ぎ、このたび日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の会長に就任しました。1998年にJBVPが設立され、それ以降、四半世紀近くの長きにわたり伴侶動物医療に関する良質な情報を獣医師だけでなく、動物看護師や動物との暮らしを楽しんでいらっしゃる方々に、最もよい形で発信してきたJBVPの活動を思うと、重責を感じています。

 さて日本で暮らす我々は、我が国の社会に何らかの貢献をしなければなりません。その方法として寄付や募金、そしてボランティア活動などが挙げられますが、「獣医師・動物看護師でなければできない貢献」は我々にとって極めて重要です。

 ここでいう貢献とは、「動物との暮らしを楽しんでいる家族にさらに楽しんで頂く、満足して頂くことに限る」と私は考えます。

 では、どうしたら楽しんで頂ける、満足して頂けるのでしょう。

 刻々と変化する獣医学・動物看護学を理解し、現場に応用し続けることに尽きると思います。私は大学の研究室から社会に巣立つ卒業生、そして私が発行した書籍を購入された獣医師から、「記念にサインと一緒に何か一言書いて下さい」と求められることがあります。その際に必ず書く一言が「獣医師、一生勉強」です。今まで知られていなかった疾患、あるいは発生率が低かった疾患が、頻繁に発生することはよくある話です。また、新しい治療薬が出現し、疾患の治療成績が向上した、という話も少なくありません。このことは、手術器具や手術法(術式)にも当てはまります。つまり、伴侶動物医療の実態は日々刻々と変化し続けている、ということです。当然のこと、この変化に対応するためには、良質な情報を常に追い求める必要があります。この思いを表現したのが「獣医師、一生勉強」です。無論、動物看護師も同様です。

 獣医師には多くの勉強の場があります。最近では、動物看護師の勉強の場も増えてきましたが、獣医師のそれと比べると十分とは言えません。勉強というと、ちょっと苦痛を伴う、あるいは仕方なくするものという、負のイメージを連想するかも知れません。JBVPは「どうせするなら、楽しく勉強しよう」を基本方針としています。勉強する内容は、動物の健康や命と深く関連するので、勉強する環境は動物の健康や命とバランスが取れているべきです。このため、これまでJBVP年次大会もWest Japan Veterinary Forum (WJVF)も立派なホテルで開催し、参加者にはドレスコードに沿うよう要請してきました。全国で開催してきたレクチャーシリーズ(LS)も、そして地区大会も同様です。この方針はオンライン配信でも貫きます。

 このような場で動物とその家族のためにしっかりと勉強し、みなさんの病院で学んだことをしっかりと活かす、そして動物と家族がより楽しくなる、満足して頂くこと、これこそが「獣医師・動物看護師でなければできない社会貢献」と言えましょう。

 元号が平成から令和にかわり、我が国でも動物看護師の国家試験が実施されるようになりました。動物看護学を学ぶ学生の皆さんだけでなく、資格を取得され現場で活躍されている動物看護師のみなさんにも、獣医師と同様にしっかりと勉強し、常に最新の情報を学ぶことで、ご自身の知識と技術をいつもピカピカにしておく必要があります。これまでJBVPは動物看護に関する情報を発信してきましたが、今後はさらに量と質の両方を高めて勉強の場を用意します。

 動物の家族の方には、これまで以上に様々な学びの場を提供したいと考えています。健康維持は勿論、フード、行動、発生率の高い疾患など、家族が知りたいことは沢山あります。今後もJBVPは家族の知りたいことを適確に把握し、動物との良質な暮らしをサポートします。

 動物の健康や医療に関連する企業数は膨大です。このような企業に問い合わせをする場合、電話かメールを使うことが大部分です。しかし、特にJBVP年次大会では多くの企業の方にお願いして、自社製品の展示ブースをこれまで用意していました。つまり、企業の皆様の顔が見えるのです。このこともJBVPならではの魅力と自負しています。オンラインでの開催が今後も続くのであれば、展示ブースの魅力をどうアップさせるかが我々の解決すべき課題と受け止めています。

 昨年から世界的な問題となった新型コロナウイルス感染症の影響で、JBVPの活動はオンラインが主体となりました。自粛と我慢を強いられる辛い生活が続く一方で、勉強の場をオンライン化することにいくつかメリットがあることに我々は気づきました。コロナ禍が落ち着いても、JBVPはオンラインでの勉強を提供しつつ、必要と状況に応じて対面での勉強の場も提供したいと考えています。

 「獣医師・動物看護師の責務と喜び」。責務とは勉強し続けることです。喜びとは動物と暮らす家族に楽しんで頂く、喜んで頂く、そして満足して頂くことです。これは獣医師に・動物看護師にしか出来ない、素晴らしい社会貢献です。

 JBVPで学んだことを糧に獣医師・動物看護師が粘り強く社会に貢献すること、このことが会長としての私の責務と喜びです。