JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

猫の病気脂漏症

脂漏症とは皮膚の表面の角化の異常で、このためぱさぱさした鱗屑(フケ)が多くなります。犬ではべたべたした感じになるものや、細菌感染を伴うものがよくみられるのですが、猫では乾いた感じの脂漏症が多く、外部寄生虫や真菌感染、腸内寄生虫、栄養障害、環境、全身疾患に二次的に起こるもの圧倒的です。また油性の脂漏症は肝障害、ネコ白血病ウイルス感染、全身性エリテマトーデスとの関連が示されています。治療は原因を正すことが第一で、洗うのもよいことですが、乾き気味の皮膚に対しては、薬浴用シャンプーはよけい皮膚を乾燥させるのですすめられません。また油性の物に対しては油をとりさるシャンプーがすすめられます。しかしながら、犬用のコールタールシャンプー、サリチル酸シャンプーは猫には毒なので、必ず獣医師の指示にしたがって治療してください。まれな疾患として、スタッドテイルという尾の根本にある脂肪を分泌する組織の活動が高まるものがあります。尾の毛にワックス状の黒い物が付着します。未去勢の純血種、ペルシャ、シャムなど、あるいはまれに、雌や去勢雄にみられることもあります。また猫のアクネという病気も、脂漏症の一種で毛包の角化の病気で、あごの部分の毛穴に角化物が溜まり、細菌感染が起こるものです。毛穴に角化物が溜まりやすい体質の異常が考えられますが、固い表面にあごを乗せて寝る猫によく発生がみられるともいわれています。治療には局所の洗浄、消毒、毛刈り、角化物の絞り出し、抗生物質投与が行われます。