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臨床病理学 文献(要約):町田晴市(町田動物病院)
Cytologic Findings in Cerebrospinal Fluid From Two With GM,- Gangliosidosis GM2-
1.ガングリオシドーシスの2症例にみられた脳脊髄液の細胞診所見
Johnsrude J.D., Alleman R.A., Schumacher J., Hopkins A.L., Homer B., Fox J., Harvey J.W.
Vte. Clin. Pathol.1996.25.3:80-83.


生後5カ月のコラット Korat の子猫と生後6カ月の muntjak (鹿)が,進行性の発作,運動失調,測定過大,旋回運動,視覚障害などを臨床徴候として来院した. Korat の子猫の神経学的検査では,測定過大,起立時の体幹の水平方向への動揺と頭部の振せんがあり,散在性の小脳疾患が疑われた.それぞれ,末梢血のリンパ球と好酸球における空胞形成とアズール顆粒,脊髄液中のマクロファージにおける空胞変性または長い針状の物質,好塩基性と好酸性顆粒からライソゾーム蓄積病が示唆された.病理組織学的検査では,脊髄,脳と消化管神経節における細胞内空胞変性,小膠細胞に貪食像,肝臓と脾臓における組織球の増加と空胞変性がみられ代謝性貯蔵疾患が示唆され,特殊染色と電子顕微鏡検査によって脂質の存在が確認された.大脳皮質を使用した酵素分析法によってβーヘキソサミダーゼの欠如が確認さた.そして,ガングリオシドを高性能薄層クロマトグラフィーによって定量したところ, コントロールよりもGM2ガングリオシドが100倍以上高く蓄積が確認され, GM2ガングリオシドーシスと診断された. 以上により,末梢血と脳脊髄液におけるリンパ球とマクロファージ内の空胞変性と封入体の存在が GM2-ガングリオシドーシスを示唆する可能性がある.
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Symmetrical Crusting Rash in a Dog
2.犬の対称的な痂皮性発疹の1例
Ghisleni G., Nageli-Schenker C., Caniatti M.
Vet Clin Pathol.2003;32:19-21


9歳齢の雌のCao de Agua dogにおいて四肢の皮膚の潰瘍病変,皮膚粘膜接合部のびらん,肉球の角化亢進と深層までの亀裂,抑うつと脱水がみられた.腹部レントゲン写真と超音波検査によって,肝臓の縮小と多数の小結節が見られた.皮膚の病理組織学的検査では,過形成の基底細胞層(青い層),上皮細胞内と細胞外の水腫(白い層)と炎症を伴う厚い角化不全症の表層(赤い層)がみられた.肝臓では,散在した実質の崩壊を伴う重度の空胞変性と肝細胞の変性がみられ,重度の脂肪肝が示唆された.この病理組織所見は,表在性壊死性皮膚炎 hepatocutaneous syndrome (SND 肝皮症候群)と一致した.SNDは遊走性壊死性紅斑necrolytic migratory ery-thema (NME) に類似しているが,NMEは主に膵臓腫瘍の腫瘍性随伴症候群として報告されている.この症例では,膵腫瘍がみられなかったことから,NMEが除外された. また,SNDの発生機序として慢性肝疾患では,アミノ酸合成の減少による血清と皮膚の必須アミノ酸の枯渇が起こり,皮膚病変(ケラチノサイト変性と壊死)が起こるようである.よって,この症例では重度の脂肪肝が皮膚病の原因と推測される .
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Mass in the Laryngeal Region Of a Dog
3.犬の喉頭部腫瘤の1例
Wiedmeyer CE., whitney MS.,Dvorak LD., McCaw D.,SE., Turnquist SE.
Vet Clin Pathol.2003;32:37-39


13歳齢,去勢済みラブラド-ル・レトリーバー が2週間におよぶ気道上部の雑音,運動不耐性,軽度の呼吸困難を呈した.喉頭鏡検査では,右の扁桃壁に3×4cmの円形の軟部組織腫瘤がみられ,喉頭部へ浸潤していた.外科切除後の細胞診では,大きな角化扁平上皮細胞に幾分類似した蛋白質の塊を背景に,空胞を持つ上皮系細胞(分泌細胞),肉芽腫反応を示唆する活性化マクロファージと変性のない好中球がみられた.病理組織学的検査では好塩基性の粘液を満たす嚢胞が見られ,嚢胞壁は扁平上皮細胞と線維結合織から構築されていた.診断は,粘液嚢胞(または唾液腺嚢胞)であった.細胞診でみらた肉芽腫反応は,多量な粘液に対する反応と考えた.粘液嚢胞は,唾液腺疾患の中で最も多く,通常管の狭窄によって下顎骨周囲や舌下などに発生する.また,発生要因に犬種特異性がある.この症例は,舌下唾液腺が何らかの影響を受け唾液が濃縮したために,喉頭というまれな部位に発生したと考えられた.
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Ehlers-Danlos-Like Syndrome in 2 Dogs: Clinical, Histologic and Ultrastructural Findl
4.2頭の犬におけるエーラース‐ダンロス様症候群の臨床徴候,病理組織検査と電子顕微鏡検査所見
Caruso KJ.,Meinkoth JH.,Cowell RL.,Rochat M.,Campbell GA.
Vet Clin Pathol.2003;32:27-30


エーラース‐ダンロス症候群は,皮膚の過伸展と関節の過可動性によって特徴づけられる遺伝性疾患である.雑種犬とヨークシャテリアにおいてエーラース‐ダンロス症候群に類似した疾患がみられ,臨床徴候,病理組織検査と電子顕微鏡検査所見を調査した.2頭に共通した臨床徴候としては,皮膚の過伸展と脆弱化,皮膚の弾力性の低下,血管の脆弱化,皮膚創傷の治癒遅延,関節の過可動化であった.関節の可動化は,ヒトの1型, 3型と7型では多く報告されているが,犬では非常にまれであった.またヨークシャテリアでは,ヒトの8型に類似する歯周囲炎がみられた.皮膚伸展指数は,雑種犬では18(正常範囲6-10),ヨークシャテリアでは17であった.病理組織検査では,膠原線維の断裂と散在がみられた. 電子顕微鏡検査においても多くの膠原線維の錯綜がみられ,長軸断面と横断面では,それぞれ連鎖状,大小不同を伴う全体的な増大が認められた. 動物の膠原線維疾患の原因は解明されていないが,臨床徴候,病理組織検査と電子顕微鏡検査によって遺伝形式,生化学的欠損などをはじめとする分類が可能となるであろう.
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A Distal Colonic Mass in a Dog
5.犬の結腸遠位部における腫瘤の1例
Caruso KJ.,Meinkoth JH.,Cowell RL.,Rochat M.,Campbell GA.
Vet Clin Pathol.2003;32:27-30


11歳齢の雄のゴールデン・レトリーバーが2カ月間の血便としぶりを呈し,肛門から約10cm近位の直腸に腫瘤がみられた.腫瘤は,円形で滑らかなピンク色の2.5×2.5×2.5cmの有茎腫瘤であった.結腸鏡下のパンチバイオプシーによって採取された検体のスタンプスメアーでは間葉系悪性腫瘍が疑われた.しかし,腫瘤切除時の細胞所見では,独立円形細胞であり,核の偏在と核周明庭などの形質細胞の所見がみられた.病理組織検査においても形質細胞が示唆された.この症例は,血清タンパクが正常なこと,末梢血の血球減少症,骨の痛みまたは跛行が無いことから髄外性形質細胞腫と診断された. 形質細胞腫においては,多数の検体を異なった部位から採取し検査すること,CD79aのような免疫染色またはビメンチン染色による間葉系腫瘍との鑑別が役立つであろう.
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Metastatic Balloon Cell Melanoma in a Dog
6. 犬のBalloon Cell Melanomaの転移の1例
Wilkerson MJ., Dolce K., DeBey BM., Heather Heeb H., Davidson H.
Vet Clin Pathol.2003;32:31-36


6歳齢の雌のゴールデン・レトリバーにおいて左前肢の抗生物質に無反応な慢性病変,レントゲン上の肺小結節,左眼の房水フレアーとブドウ膜炎,前肩甲骨リンパ節の腫大がみられた.その後,横隔膜,心臓,肺,腎臓と皮膚などに転移病変が確認された.前肩甲骨リンパ節と前眼房の細胞診では, N/C比が非常に低い円形細胞がシート状にみられ,それぞれの細胞質内には明瞭な空胞が含まれていた.また,核には大小不同と複数の核,大きな核小体と粗なクロマチン構造などの悪性所見が認められた. 細胞診では上皮系腫瘍が疑われ,暫定的に,切除した指を原発とする転移性の皮脂腺癌またはclear cell neoplasmと診断された.病理組織学的検査では,細胞診と同様な細胞質内の空胞と明瞭な顆粒がみられた.核は多形核であり,核分裂像は少なかった.細胞診と病理組織検査によりその形態から,転移性balloon cell melanomaが最も疑われた.免疫組織化学検査では,サイトケラチン陰性であり, clear cell carcinomaが除外された.Melan Aが陽性であり,電子顕微鏡によってミエリン様物質と空胞内のメラノソームが確認されたので,転移性のballoon cell melanomaと診断された. Balloon cell melanomaは,メラニン欠乏性黒色腫のまれな例であり,皮脂腺癌,脂肪肉腫やその他のclear cell neoplasmsと鑑別するのが困難である.確定診断は, 電子顕微鏡検査によるメラニンまたはメラノソームの確認または免疫組織化学検査による除外診断によって行われる. この報告の目的は,犬のmetastatic balloon cell melanomaの臨床徴候,細胞診所見,病理組織学的診断,免疫組織学的診断について報告することである. 
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Cytologic Diagnosis of Peritoneal Cestodiasis Caused by Mesocestoides sp in Dogsin a Dog
7. 犬におけるメソセストイド種による腹膜条虫症を診断するための細胞診
Caruso KJ., James M P., Fisher D, Paulson RL.,Christopher MM.
Vet Clin Pathol.2003;32:50-60


メソセストイデス種は,門扁形動物門 に属する条虫であり,扁虫と吸虫類を含む.発育は発芽あるいは二分裂によって行われ, 低酸素状態でも生存できる.そして腹腔内に侵入する能力があり,無性生殖を行うことによって寄生増殖を行う. 腹膜条虫症または腹膜幼虫条虫症は,メソセストイデス種が腹腔内に侵入した疾患と定義され, 致死的な腹水と腹膜炎を起こすことがある.固有宿主は,スカンク、アカオオヤマネコ、オポッサム、アライグマ、コヨーテ、キツネ、猫、ヒヒとヒトである.犬での報告は,ヨーロッパ,カナダ,合衆国にある.この4症例は,全てカルフォルニア生まれであることから,この地域に多い固有宿主であるコヨーテと中間宿主であるトカゲを介して感染した疑いがある.診断は,腹水の検査と糞便検査であるが,通常糞便検査は陰性である.また,restriction fragment length polymorphism (RFLP) analysisによっても診断可能であるが,フィブリン癒着または化膿性肉芽腫性炎症によって腹水が限局するために偽陽性がでることがある.4症例の細胞診を行ったところ,メソセストイドに特徴的な幼虫, メソセストイドテトラチリディアMesocesoides tetrathyridiaと条虫の破壊産物であるカルシウム小球calcareous corpusclesを確認できた.よって,犬のメソセストイド種による腹膜条虫症の診断には,細胞診が有用である.
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Fecal Proteinase Inhibitor Concentration in Dogs with Chronic Gastrointestinal Disease
8. 慢性消化器疾患の犬における糞便中α1ープロテイナーゼ抑制因子の濃度測定の有用性
Murphy KF., German AJ., Ruaux CG., Steiner JM., Williams DA., Hall EJ.
Vet Clin Pathol.2003;32:67-72.


糞便中のα1ープロテイナーゼ抑制因子(α1ーPI)をELISA測定することによって早期に蛋白喪失性腸症(PLE)を診断し,血清アルブミン濃度との相関関係を調査した.α1ーPIは血漿,間質液とリンパ液に存在し,分子量はアルブミンと同じである. PLEでは,アルブミン同様消化管粘膜を通過して喪失する.現在,血清アルブミン濃度の低下から重度または末期のPLEを除外診断リストに含めることはできる.しかし,中程度までのPLEの診断または早期診断を簡易にする方法はないが, 糞便中α1ーPI濃度測定にはその可能性がある. 今回の調査では,健康な犬と慢性消化器疾患の犬における糞便中α1ーPI濃度には有意差が認められなかった.しかし,慢性消化器疾患の臨床徴候と消化管の病理組織学的検査に異常のあった犬では(n = 7: 炎症性腸疾患 n = 3;リンパ管拡張症 n = 4) ,明らかに高く,血清アルブミン濃度の低下よりも早く増加する症例も認められた. よって,慢性消化器疾患の臨床徴候と糞便中α1-PI濃度の増加した犬では,消化管の病理組織検査の必要性とPLEの早期診断が示唆された.また糞便中のα1ーPI濃度と血清アルブミン濃度には,相関が認められなかった.この要因としては,粘膜α1-PI産生の増加または腸管内のα1-PIの破壊,炎症性蛋白の一部であるα1-PIの炎症性疾患時の増加,臨床徴候の程度とそれらの濃度が比例しない,肝臓のアルブミン合成による影響などが考えられた.
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Abdominal Fluid from a Dog
9. 犬の腹水の1症例
Fry MM., DeCock HEV., Greeley MA., Vernau W.
Vet Clin Pathol.2003;32:77-80.


2歳齢,雌の雑種犬に嗜眠,食欲不振と腹部膨満がみられた.腹部超音波検査とレントゲン検査では,腹部中央の大きな腫瘤と大量の腹水が認められた.腹水の細胞診では,多くの変性のない好中球,少数のマクロファージと反応性中皮細胞がみられたことから,化膿性肉芽腫性炎症がを示唆された.その他には,先端に線毛を備えた円柱細胞がわずかにみられた.肉眼的所見としては,腫瘤は左の卵管から生じている大きい 有茎腫瘤であった.病理組織学的検査では,良く分化した導管が多く見られ,内腔は線毛上皮細胞によって被われていた.そして,その外側は悪性所見のない立方上皮細胞が単層から重層を形成していた.さらにその周囲は,線維芽細胞を主体とした結合織によって囲まれていた.周囲組織への浸潤など悪性腫瘍を示唆する所見は認められず,卵管の過誤腫と診断された.線毛上皮細胞は唯一卵管の構成細胞であり,腹水中に見られるのは異常である.この症例は,腫瘍から剥離した線毛細胞が腹水中に認められ,増殖して微絨毛の形態を呈したのであろう.この症例は犬の卵管原発の過誤腫の初めての報告であり,腹水中の線毛細胞の存在は卵管疾患が示唆された.
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Evaluation of a Commercially Available Human C-Reactive Protein (CRP) Turbidometric Immunoassay
for Determination of Canine Serum CRP Concentration
10. 犬の血清Cー反応性蛋白(CRP)濃度の定量のためのヒトCー反応性蛋白混濁免疫検査Human C-CRP
Turbidometric Immunoassay の評価
Kjelgaard-Hansen M., Jensen AL., Kristensen AT.
Vet clin Pathol.2003;32:81-87.


犬の血清CRP濃度が,ヒト用に設計された自動混濁免疫分析法(automated turbidometric immunoassay TIA)によって測定可能か評価された.このTIA (Bayer CRP TIA)は,商品化されており,自動で迅速に操作可能な診断装置である. 健康な犬,腫瘍に罹患している犬,感染症の犬と内分泌性または代謝性疾患の犬の血清が材料として使用された.それぞれの抗原に対する交叉反応が,Ouchterlony procedureによって評価された.結果は,犬血清 CRP と抗ヒトCRP抗体との交叉反応が確認された.そして, 犬のCRP濃度がELISAによって同時に確認された.濃度値にわずかな誤差がみられたが,生物学的変動の範囲内であった. 犬血清CRP濃度は,このTIAによって,測定可能であることが示唆された.
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Extensive Cutaneous Metastases in a Dog with Duodenal Adenocarcinoma
11. 犬の十二指腸腺癌における広範囲の皮膚転移の1例
Juopperi TA.,CestaN M.,Tomlinson L.,Grindem CB.
Vet clin Pathol, 2003;32:88-91


6歳齢のロットワイラーに食欲不振,嘔吐,下血,後肢麻痺と多数の皮膚結節がみられた. 皮膚結節の細胞診では,独立円形腫瘍と診断された.剖検では,皮膚以外に十二指腸,腸間膜,膵臓,肝臓,腎臓,心臓,肺, 脊髄,膀胱などに腫瘍がみられた.十二指腸腫瘍の病理組織学的検査では,腺癌と未分化な円形細胞腫瘍の所見がみられた.その鑑別診断のために皮膚,十二指腸と膵臓の検体を細胞化学染色と免疫組織化学染色を行った.pancytokeratin陽性は上皮系腫瘍が示唆され,PAS染色とアルシアンブルー染色陽性は,腫瘍細胞の粘液産生が考慮された.臨床徴候,十二指腸腫瘍の存在,十二指腸から周囲臓器への浸潤,特殊染色の結果,十二指腸腫瘍と皮膚腫瘍との細胞形態が同じことなどから,十二指腸腺癌を原発とした皮膚転移例と診断された.十二指腸を原発とした腺癌の皮膚転移例はまれであり,未分化な腺癌は円形細胞腫瘍に類似することもあり,特殊染色を必要とすることがある.
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Marked Neutropenia in Five Tumor-Bearing Cats One Week Following Single-Agent Vincristine Sulfate
Chemotherapy
12. 硫酸ビンクリスチン投与により1週間後に顕著な好中球減少症がみられた猫の5症例
Hahn KA.,Fletcher CM.,Legendre AM.
Department of Comparative Medicine, College of Veterinary Medicine, University of Tennessee
Vte. Clin. Pathol.1996.25.4:


硫酸ビンクリスチンは,ニチニチソウの葉から分離されたビンカアルカロイド製剤である.その抗癌作用は,細胞質の微細管蛋白との結合および分裂期の細胞分裂を抑制することによって有糸分裂紡錘体を阻害する.猫では硫酸ビンクリスチンによる好中球減少症は報告されていないが,今回病理組織診断によってリンパ腫と診断された3症例,皮膚の未分化線維肉腫1症例と扁桃腺原発の肥満細胞腫1症例において分葉核好中球の減少症が確認された.硫酸ビンクリスチンを用いた化学併用療法として,第0日に硫酸ビンクリスチン(0.5mg/m2, IV)を投与したところ第7日目に分葉核好中球が30ー1680/μlと減少した(正常範囲2500ー12500/μl).そのうち4症例において硫酸ビンクリスチンを25%減量して投与したところ,分葉核好中球数は正常範囲に回復した.リンパ腫3症例の診断時と減量によって好中球の回復がみられた3症例の好中球減少時に行われた骨髄細胞診では,正常であった.したがって,今回の5症例の好中球減少症の原因は不明である.硫酸ビンクリスチンは,特に他の骨髄抑制作用のある化学療法剤を併用する場合には,猫においても注意が必要である.
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ntracellular Myelin in CerebrospinalFluid From a Dog With Myelomalacia
13. 脊髄軟化症に罹患している犬の 脳脊髄液における細胞内ミエリン所見の1例
Mesherl C I.,Blue J.,Guffroy M R.G., Lahunta AD.
Vet Clin Pathol.1996;4:124-126
Cornell University


7歳齢の避妊済みドーベルマンピンシャーが,運動失調を発症してから4日後に四肢麻痺になった. 神経学的検査では,初診時の右前肢の反射亢進とその後の後肢の上位運動ニューロン徴候がみられた.神経学的検査による病変部位の予測は脊髄の複数の部位または浸潤病変とされ,散漫な脊髄軟化症が疑われた。大槽から採取された脳脊髄液(CSF)検査では,明黄色,軽度の混濁,総有核細胞数32細胞/μl(正常=0ー5/μl),赤血球数468細胞/μl(正常=0/μl),蛋白質濃度143mg/dl (正常= Oー 25 mg/dl)であった.有核細胞は85%マクロファージ,13%リンパ球,2%が好中球であり,ライトギムザによって染色された多くの活動型マクロファージの細胞質内にはピンクの線状の物質がみられた.この物質はミエリンが疑われ,ルクソールファーストブルー染色によって特異的に青色に染色された.よって,ミエリンと確認された.CSFの単核球増加症とミエリンの貪食像は非化膿性炎症と脱髄が示唆され,病理組織学的検査によって脊髄軟化症と診断された.自己免疫疾患による脊髄疾患では,CSF中に抗原であるミエリンが含まれることが多い.また,大曹穿刺による出血によっても検出されることがある.この症例は注意深く剖検したにも関わらず,椎間板の突出が確認されなかったために,自己免疫疾患による多発性の脊髄軟化症が疑われた.CSFの細胞診を精査することによってミエリン検出率が増加し,疾患との関連性が理解されるであろう.
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Cytologic Identification of Neural Tissue in the Cerebrospinal Fluid of Two Dogs
14.細胞診によって確認された2頭の犬の脳脊髄液中の神経細胞
Fallinl CW.,Raskin RE. , Harvey JW.
Vet Clin Pathol, 1996;25:127-131
University of Florida


犬の脳脊髄液CSFでは,まれに脳室に関連した細胞(例えば,上衣細胞と脈絡叢細胞)や髄膜細胞が確認されることがある.今回,脊髄横断病変を呈する2症例において神経細胞が細胞診によって確認されたので報告する.症例1では,18歳齢,雄のビーグルにC4ーC3領域の脊髄圧迫がみれら,CSFの細胞診において少数の神経細胞が確認された.その形態は,神経細胞に特徴的なN/C比の低い大型細胞であり,細胞質から数個の触手が出ており,大きく明瞭な黒色の核小体がみられた.症例1は,脊髄組織の偶然な破裂のために神経細胞がCSF中に出現したと考えられた.症例2は,9カ月齢の去勢済みコッカスパニエルにT11-L1間の脊髄圧迫がみられた.脊髄の病理組織診断では,壊死部位がみられたために,脊髄軟化症と診断された.CSFの細胞診では,好塩基性物質が渦巻き状に並び,ニッスル小体を形成していた.壊死部位とこの物質は,形態とどちらもルクソール・ファスト・ブルー染色に対して陰性であったために,ミエリンを示唆した.症例2は,脊髄軟化症のために脊髄組織から脱落した神経細胞膜と考えられた.
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Fecal α1-Proteinase Inhibitor Concentration in Dogs Receiving Long-Term Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drug Therapy
15.長期間非ステロイド性抗炎症薬を投与されている犬における糞便中α1ープロテイナーゼ阻害因子濃度測定の有用性
Murphy KF., German AJ. , Ruaux CG., Steiner JM., Williams DA., Hall EJ.
Vel Pathol.2003;32:136-139
University of Bristol and the Gastrointestinal Texas A&M University


NSAIDS は,犬の整形外科疾患疾患に使用されている鎮痛剤であるが,まれに胃十二指腸潰瘍や粘膜の透過性亢進などの消化管への副作用をおこす.この副作用を早期に診断可能かどうか,糞便中へのα1-PI濃度を測定した.方法は,健康なグループと整形外科疾患の治療として365日以上meloxicam投与を受けている5頭のグループに分け,糞便中のα1ーPI濃度(μg/g)を測定した.その結果,それぞれのグループにおいて中央値 9.9μg/gと5.6μg/g,範囲0.0-32.1μg/gと1.1-32.3μg/g:P=.81と有意差がなかった.同様に,年齢,性別,腸管出血疾患,蛋白喪失性腸症においても顕著な差はなかった. しかし,今回の調査では測定数が7例と少なく ,また人では信頼性の高い蛋白喪失性腸症のマーカーであであるために,測定数の増加,異なる薬剤の選択などによって調査をすすめるべきである.
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Three Cases of Canine Bile Peritonitis with Mucinous Material in Abdominal Fluid as the Prominent Cytologic Finding
16.犬の胆汁性腹膜炎3症例においてムチン物質がみられた細胞診所見
Vet Clin Pathol.2003;32:114-120
Owens SD., Gossett R., McElhaney MR., Christopher MM., Sonjia M. Shelly SM.
From IDEXX Veterinary Services and the Department of Pathology, Microbiology an Immunology,
School of Veterinary Medicine, University of California, Davis


細胞診と化学検査が,胆管破裂の犬3症例の腹水を用いて行われた.化学検査と細胞診では,滲出液を呈し,ビリルビンの値は血清中よりも数倍高かった.ライトギムザ染色による細胞診では細胞を含まない無定形物質がみられた. その無定形物質は,ホール青染色, アルシアン青染色,PAS染色と Mayerムチカルミン染色によって精査された. アルシアン青染色とムチカルミン染色に対して陽性を示したために, 酸性ムコ物質からの構築が示唆された.ヒトの肝外胆管閉塞症で報告されている"白色胆汁white bileヤの形態に類似していた. 白色胆汁は,胆管閉塞の初期に起こる胆管と胆嚢上皮からの分泌物である.その他には,肝臓,膵臓や分泌上皮腫瘍からも分泌される.これらの症例では,ライトギムザ染色では金色から緑色の色素からなるビリルビンとホール青染色によって陽性を示す胆汁色素が確認されなかった.この理由として,胆管閉塞による破裂では, 先ず胆管の内圧が上昇して上皮細胞がムチン産生を増し,破裂初期には先ずムチン物質が,次ぎにビリルビン流出する.よって,この症例の腹水は腹腔内に流出してから短時間しか経っておらず,染色されなかったのであろう.また,ホール青染色は病理組織検査に使用される染色であり,酸化剤で酸化し緑色に染色されるために,この直接塗抹作成標本は酸化状態でなく,陰性を示したのであろう.
これらの症例では,腫瘍は剖検時には確認されなかった.胆汁性腹膜炎は,腹水の細胞診と化学検査の特徴を理解することにより,救命率が上がるであろう.
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Hemotrophic mycoplasmas (hemoplasmas): a review and new insights into pathogenic potential
17.血液マイコプラスマ(ヘモプザズマ):病原体に対する懐古的および新しい考察
Messick J B.
The university of lIIinois at Urbana
Vet Clin Pathol, 2004;33:2-13.


赤血球寄生虫にはヘモプラズマ群(ヘモバルトネラ属 Haemobartonella sppとエペリスロゾーン属 Eperythrozoon spp)があり, ポリメラーゼ連鎖反応PCRによる16SリボソームRNA遺伝子連鎖16S ribosomal RNA gene sequencesに基づいて血液マイコプラスマとして分類しなおされた.マイコプラスマ群は,猫をはじめとして様々な哺乳動物に感染し,種特異的発生がみられる.猫ではエペリスロゾーン属であるヘモバルトネラには2種類有り,光学顕微鏡によって形態的に大型と小型に分けられている.血液マイコプラスマの走査型電子顕微鏡所見では,細胞壁と核構造がみられず,赤血球表面に強固に付着していた.貧血のある猫のPCRによる陽性率は,M haemofelisとCandidatus Mycoplasma haemominutumがそれぞれ12%と7.2%であった.しかし,貧血のみられない猫では,それぞれ1.5%と5.3%であった.最近開発されたリアルタイムに定量可能なPCR分析は,治療反応を評価する方法として役立つであろう.マイコプラスマ感染症は,重度の溶血性貧血,軽度の慢性貧血、不妊症などを引き起こし,レトロウイルス,腫瘍と免疫介在性疾患に影響することがある.感染動物には感受性のあるテトラサイクリンが用いられているが,臨床徴候の消失後,キャリアになる.
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Early Diagnosis of Familial Nephropathy in English Cocker Spaniels
18.イングリッシュコッカースパニエルの家族性腎症の早期診断
George E. Lees GE., Helman RG., Homco LD., Millichamp NJ.
J Am Anim Hosp Assoc 1998;34:189-195.


家族性腎症(Familial Nephropathy FN)は,遺伝性腎皮質低形成以外の遺伝性腎疾患と定義される.この疾患は,進行性で致死的である.また,家族性腎炎はFNの経過の病態と考えられる.この報告では,FNの出産歴のある両親から出産されたイングリッシュコッカスパニエルの子犬のうち3匹が家族性腎症と診断された.診察は3カ月齢から始められ,毎月膀胱穿刺による尿検査,3カ月間隔の血液検査と血液化学検査および腎臓の超音波検査などが行われた.6カ月齢時,12ー13カ月齢時と24ー30カ月齢時に腎生検が行われた.FNと診断された子犬3匹の初めての異常所見はそれぞれ発現時期は異なるが,蛋白尿(著者は,特に尿中蛋白:クレアチニン比を推奨している)であった.それ以後の異常所見は同様に血清クレアチニンの増加と高窒素血症,尿比重の低下と体重減少などがみられた.確定診断は,透過型電子顕微鏡によるFNの特徴的な広範囲の糸球体毛細管基底膜(GCBMS)肥厚と網眼様の分割(lamination)の確認であった.よって, イングリッシュコッカスパニエルの子犬にはFNを診断するために,蛋白尿の発現が始まる4ー5カ月齢時に蛋白尿の検査が必要であり,蛋白尿が陽性の場合には腎生検が行われるべきである.
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Pleural Fluid from a Dog with Marked Eosino philia
19.犬の胸水中に多数の好酸球が認められた1例
Cowgill E., Neel J.
North Carolina State University
Vet Clin Pathol. 2003;32:147-149


12歳齢の去勢済みシャーペイに咳と無気力,食欲不振がみられ,レントゲン検査とエコー検査によって胸水,肺門リンパ節の腫大,縦隔腫瘤,腹水,複数の腹腔内リンパ節の腫大が確認された.胸水と腹水は滲出液であり,少数の異型性のある肥満細胞と多くの好酸球がみられた.前縦隔腫瘤,空腸リンパ節と骨髄においても同じ所見であった.また末梢血のバフィーコートには,塗抹標本上に10個以上の肥満細胞が観察された.以上の所見と皮膚型肥満細胞腫の既往歴がないことから,まれな全身性肥満細胞症(内蔵型肥満細胞症)systemic (vis-ceral) mastocytosisと診断された.肥満細胞の周囲に多くみられた好酸球は,肥満細胞によって産生される好酸球走化性因子や脂質媒介物質ロイコトリエンB4,血小板活性化因子,腫瘍壊死因子(TNF)ーαとインターロイキン(IL)ー5などのサイトカインを介して集まったのであろう.
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Morphologic, immunohistochemical, and molecular characterization of hepatosplenic T-cell lymphoma in a dog
20.犬における肝脾T-細胞性リンパ腫の形態学的,免疫組織学的そして分子生物学的特徴の1例
Cienava E A.,Barnhart K F.,Brown R.,Mansell J.,Dunstan R.,Credille K.
Vet Clin Pathol. 2004;33:105-110


13歳齢の去勢済みのジャックラッセルテリアに重度の抑うつ,発熱,脾腫(リンパ節の腫大は無く)などの臨床徴候を示し,急速な全身状態の悪化と進行した. CBCでは,軽度の再生性貧血と重度の血小板減少(15,000/μL)が確認された.脾臓の細胞診所見では,リンパ球または組織球が示唆された.その細胞には,奇怪,多形態,核の悪性所見と異常核分裂像がみられた.脾臓と肝臓の病理組織学的検査では,それぞれ腫瘍による部分的な破壊,腫瘍増殖した円形細胞の脾臓実質と肝臓の洞様毛細血管内の浸潤および核分裂像などの所見が記載された.腫瘍細胞は, CD3 (T-細胞マーカー)に対して強陽性,CD79a (B-細胞マーカー) とリゾチーム(組織球マーカー)に対して陰性であり,肝脾原発のT-細胞性リンパ腫と診断された.イヌ-特異性ポリメラーゼ連鎖反応法canine-specific polymerase chain reaction-based(PCR)techniquesによってγδT-細胞リセプターは確認されなかったが,この症例ではヒトの肝脾γδT-細胞性リンパ腫とイヌで唯一報告されている肝脾γδT-細胞性リンパ腫と共通した臨床徴候,CBC,細胞診所見と免疫組織学的所見が確認された.
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Flow cytometric evaluation of canine bone marrow based on intracytoplastic complexity and CD45 expression
21.犬の骨髄細胞における細胞内構造とCD45表現型によるフローサイトメーター評価
Weiss D J.
University of Minnesota.
Vet Clin Pathol. 2004;33:96-101.


骨髄細胞は主観的に形態を観察して鑑別するが,複雑な形態分類の為に長い検査時間を要する.よって,正確性と簡易性などを備えているCD45標識法が検討された.CD45は白血球抗原であり,全ての白血球の表面に異なった輝度を表す.このCD45によってラベルされた細胞の大きさ,輝度と細胞内構造をフローサイトメーターによって細胞分類を行った.結果は,犬における骨髄の細胞診とCD45標識法を比較したところ,顆粒球,骨髄芽球,赤血球系細胞とリンパ球のそれぞれの数と良く相関した.
その他の2'7'-dichlorofluorescein と3,3'-dihexyloxa-carbocyanine 法などのフローサイトメーター評価に比べ相関性がより高かった.臨床例では,CD45標識法によって骨髄芽球とリンパ球の輪郭が明瞭に示されるので,急性顆粒球性白血病とリンパ腫の診断に役立つ可能性がある.また,現在も骨髄吸引標本の細胞診は,臨床的に必要な検査であることには変わりはない.
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Creatinine in the dog:A revier
22.犬のクレアチニン測定:1つの懐古的調査
Braun JP.,Lefebvre HP.,Watson DJ
Vet Clin Pathol.2003;32:162-179.


血漿クレアチニン濃度は,犬の糸球体濾過率GFRを間接的に測定する最も一般的な生化学検査とされている.今回,検査方法,体重,食餌,薬剤,腎前性要因との関係,正常値,日内変動とGFRとの関連性を懐古的に調査した.従来行われている血漿クレアチニン(Pークレアチニン)の検査方法は,非特異的なジャフェ反応によって測定されているために,ビリルビン,脂質とアセト酢酸などにも反応する.よって健康な犬では,値が約45%増加した. 腎不全の犬ではそのような誤差が少なく, Pークレアチニン濃度が増加した.将来的には,人で使用されている正確で簡易な酵素法が利用されるであろう.体重と筋肉量に関してはほぼ比例相関していたが,悪液質の例では低くならず,個体差が激しかった.薬剤のうちグルココルチコイドは原因不明のPークレアチニン減少を起こし,morphine, oxymo rphine, ketoprofen, carprofen, ketorolac, butorphanollとアンギオテンシン変換酵素 (ACE)は血流量の増加によって上昇した.クレアチニン含有量は肉では高く,ドッグフードでは非常に低い.その含有量に比例して食後数時間から12時間まで増加したが,個体差が顕著であった.腎前性の要因である犬種,特に運動訓練がされている競争犬では激しい運動後には,約50%の増加がみられた.脱水とPークレアチニンの間には比例関係はなく,個々の変動が大きかった. 正常範囲は,多くの教科書に記載されているが,検査数や検査方法の特徴が示されていために,個々の値との比較程度にすべきである. 実験ビーグル犬による日内変動は,午後3時に最も高くなった. P-クレアチニン濃度を正確に測定するためには,まず絶食後の測定が必要であった.縦軸と横軸に,それぞれP-クレアチニン濃度とGRF値をとり,その交点を表に描いた場合には,曲線になった為に,直接的な相関性が少なく, モニターとしては不正確であった.クレアチニンクリアランスの測定は,GFRのよりよい指標であったが,検査方法が頻雑であり,全身状態やヒストリーを考慮しなければならなかった.
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Chronic active hepatitis
23.慢性活動型肝炎
Dimski D S.
The 5 minute veterinary consult .,canine and feline.656-657.



慢性活動性肝炎とは,肝細胞壊死,門脈領域または部分的な小葉の炎症と線維化が特徴であり,肝硬変,肝不全によって死に至る症候群である.すなわち,肝細胞の壊死と同時に炎症細胞の浸潤がみられる病態である.病態発生の仮説例としては,肝細胞内の細胞性免疫の活性化,薬剤(抗痙攣薬,ジエチルカルバマジン,オキシベンダゾールなど),感染因子(犬肝炎ウイルス,レプトスピラ)や毒素によって炎症細胞の主体であるリンパ球と形質細胞が先ず門脈領域に蓄積し,肝細胞の壊死を起こすサイトカインを放出する.次ぎに,肝小葉にまで壊死がおよび肝小葉間に架橋が形成されて偽小葉や線維症となる.最終的には肝線維症や肝硬変が形成される.
  病理組織学的特徴は,門脈域または小葉内への単球または形質細胞の浸潤である.その他の特徴所見としては,門脈域を囲む限界板の破壊をともなう小葉周囲の肝細胞壊死,結合組織による門脈域の取り囲みと小葉内にのびるの隔壁,再生性小葉がみられる.架橋壊死bridgingnecrosisは,進行性であることを示す.臨床徴候としては,黄疸,腹水,消化管障害,肝性脳症などがある.好発犬種には,ドーベルマンピンシェルとコッカスパニエルがあり,ベトリンテリアとウエストハイランドホアイトテリアにみられる銅蓄積症も認められている.最終診断は肝生検のサンプルによる病理組織検査によってなされる.治療は,対症療法と免疫抑制剤が主体である.
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Paratracheal Cervical Mass in a Dog
24.犬にみられた頸部気管周囲の腫瘍の1例
Bertazzolo W., Giudice C., Dell'Orco M., Caniatti M.
Universita degli Studi di Milano, Milano, Italy
Vet Clin Pathol.2003;32:209-212.


14歳齢,雌のウェールズテリア (Welsh Terrier) の左甲状腺に1 x2x3cmの大きさの円形腫瘍がみられた.腫瘍は境界明瞭であり,被膜を有して気管とその周囲の組織にわずかに癒着していた.細胞診所見の特徴としては,中程度の数の単一細胞による集塊と腺形成,円形または楕円形細胞の大小不同,明瞭な細胞間境界,明瞭な核小体,核内偽封入体Nuclear pseudoinclusions,細胞質内の好塩基性細顆粒と空胞,細胞外の無定形の好酸性基質(非晶質物質)みられた.病理組織検査では細胞診所見に加え,充実度の高い細胞が血管や結合組織によって分離され,核分裂像は少なかった.非晶質物質は,チログロブリン染色,アルシアンブルー染色とPAS 染色陽性により,コロイドと考えられた.腫瘍の起源は以上の細胞診所見,病理組織所見と特殊染色の結果から甲状腺であり,鑑別診断リストには甲状腺癌,甲状腺髄様癌,頚動脈小体非クロム親和性傍神経節腫と上皮小体癌があげられた.確定診断をするために,細胞診検体と病理組織検体を免疫化学染色を行った.腫瘍細胞は,chromogranin A ,カルシトニンとneuron-specific enolase陽性,サイトケラチンとチログロブリン陰性であった.よって,この腫瘍の母細胞はC-細胞であり,大動脈小体非クロム親和性傍神経節腫,上皮小体腫瘍と甲状腺癌は除外され,甲状腺髄様癌と診断された.甲状腺髄様癌は犬においてまれな腫瘍である.その病理組織学的所見と細胞診所見は,その他の内分泌腫瘍や神経内分泌腫瘍のに類似しており,免疫染色を行うことによって鑑別が可能であった.また,甲状腺髄様癌は通常広範囲切除によって予後が良好なことから,免疫染色の重要性が支持された.
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Dermal Mass Aspirate from a Persian Cat
25.ペルシャ猫にみられた皮膚結節の1例
Zimmerman K., Feldman B., Robertson J, Herring ES., Manning T.
Virginia-Maryland Regional College of Veterinary Medicine
Vet Clin Pathol.2003;32:213-217.


1歳齢の避妊済みペルシャ猫に多数の潰瘍状結節または結節が背部と腹部にみられた. 細胞診では,分節胞子を示唆する直径0.5-1.0μmのハローによって囲まれた好塩基性の円形体と細長い線状の有隔性菌糸,活動型マクロファージと多核巨細胞がみられた.病理組織検査では,化膿性肉芽腫性炎症がみられた.生検材料の培養と鏡検によりイヌ小胞子菌が確認された.以上の検査結果から,Pseudomycetomas偽菌腫と診断された.偽菌腫は,皮膚真菌症の菌糸を含む化膿性肉芽腫性炎症であり,菌糸が皮下と真皮内で発育する疾患である.そして,ペルシャ猫に多くの発生が報告され,遺伝性疾患(免疫不全症)が示唆されている. ペルシャ猫の皮膚結節の細胞診と病理組織検査において,化膿性肉芽腫炎症,分節胞子と有隔性菌糸が確認された場合には偽菌腫が疑われ,真菌培養が必要である.
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Extensive Venous Thrombosis and Hind-Limb Edema Associated With Adrenocortical Carcinoma in a Dog
26.犬の副腎皮質腺癌にみられた静脈血栓症と後肢浮腫の1例
Jaffe MH., Grooters AM., Partington BP.
J Am Anim Hosp Assoc 1999;35:306-10.


10歳齢,避妊済みの雑種犬に両側性の後肢浮腫と跛行がみられた.神経学的検査では,後肢運動失調と正常な脊髄反射がみられた.頚静脈拍動の消失と肝腫大の為に腹部超音波検査が行われ,膀胱から右腎の頭側レベルにおいて 後大静脈の高エコー像がみられた.サフェナ静脈からの造影では,後大静脈,右外腸骨静脈,右大腿静脈と右総腸骨静脈において多数の陰影欠損像がみられた.さらに,後大静脈分岐部と左総腸骨静脈,左腸骨静脈,後大静脈と左外腸骨静脈においてそれぞれの接合部にも大きい陰影欠損がみられた. 広範囲の静脈血栓症と診断され,剖検が行われた.肉眼所見では,多数の静脈血栓症と右の副腎組織の後大静脈への浸潤がみられた.病理組織学的検査では,肝臓転位を伴う右の副腎皮質線癌と診断された. この症例の浮腫の原因は,副腎腫瘍による血管内皮細胞の損傷と腫瘍の血管浸潤による血栓形成(後大静脈,外腸骨静脈,総腸骨静脈)と考えられた. 文献報告によれば,犬の副腎皮質機能亢進症ではビタミンKに依存する凝固因子の合成増加を促進するために,血栓形成が起こるとされている.この症例では,この凝固因子の合成増加が原因であるかは不明であった.
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Classification of Lymphomas
27.リンパ腫の分類
Messick JB.,Mays MBC.
Schalm`s Veterinary hematology. fifth edition.604-613.


リンパ腫は化学療法に対する反応や予後が異なるために,獣医療ではこれらの予想が可能な分類が望まれている. 臨床的に有用な分類としてはKiel分類とNational Cancer InstituteによるWorking the Formulation(WF)がある.Kiel分類とWFでは異なる点もあるが,主にLow-grade,Intermediate-grade, High-gradeと分類している.Low-gradeとして分類されるリンパ腫では小型リンパ球が多くみられ,核分裂指数が少ない(≦5).進行は比較的遅いために,強力な化学療法は必要とされないようである.high-gradeでは,赤血球の直径の約2倍ほどのリンパ球であり,大きな核と明瞭な核小体をもつ.そして核分裂像(>10)が多く進行が早いが,化学療法に比較的反応が良い.intermediate-gradeリンパ腫はこの中間であり,核分裂像は少なく形態は様々である. Kiel分類は初めて形態と組織型分類に免疫表現型を加えた分類法である.これからは,この免疫表現型を加えた分類がより研究されていくことであろう.
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Fecal Proteinase Inhibitor Concentration in Dogs with Chronic Gastrointestinal Disease
28.慢性消化器疾患の犬における糞便中α1ープロテイナーゼ抑制因子の濃度測定の有用性
Murphy KF., German AJ., Ruaux CG., Steiner JM., Williams DA., Hall EJ.
Vet Clin Pathol.2003;32:67-72.


糞便中のα1ープロテイナーゼ抑制因子(α1ーPI)をELISA測定することによって早期に蛋白喪失性腸症(PLE)を診断し,血清アルブミン濃度との相関関係を調査した.α1ーPIは血漿,間質液とリンパ液に存在し,分子量はアルブミンと同じある. PLEでは,アルブミン同様消化管粘膜を通過して喪失する.現在,血清アルブミン濃度の低下から重度または後期のPLEを除外診断リストに含めることはできる.しかし,中程度までのPLEの診断または早期診断を簡易にする方法はないが, 糞便中α1ーPI濃度測定にはその可能性がある. 今回の調査では,健康な犬と慢性消化器疾患の犬における糞便中α1ーPI濃度には有意差が認められなかった.しかし,慢性消化器疾患の臨床徴候と消化管の病理組織学的検査に異常のあった犬では(n = 7: 炎症性腸疾患 n = 3;リンパ管拡張症 n = 4) ,明らかに高く,血清アルブミン濃度の低下よりも早く増加する症例も認められた. よって,慢性消化器疾患の臨床徴候と糞便中α1-PI濃度の増加した犬では,消化管の病理組織検査の必要性とPLEの早期診断が示唆された.また糞便中のα1ーPI濃度と血清アルブミン濃度には,相関が認められなかった.この要因としては,粘膜α1-PI産生の増加または腸管内のα1-PIの破壊,炎症性蛋白の一部であるα1-PIの炎症性疾患時の増加,臨床徴候の程度とそれらの濃度が比例しない,肝臓のアルブミン合成による影響などが考えられた.
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Immunocytochemical study of Ki-67 as a prognostic marker in canine mammary neoplasia
29.犬の乳腺腫瘍の予後マーカーとしての Ki-67の免疫細胞化学検査の調査
Zuccari D A P C.,Santana A E.,Cury P M.,Cordeiro J A.
Vet Clin Pathol, 2004;33:23-28.


腫瘍の増殖マーカーであるKi-67は,細胞の核内のヒストン蛋白以外の蛋白質であり,クロマチンに関連した蛋白質または染色体のDNAの一部と考えられている.そして,細胞周期のG1からM期にみられ,核分裂後に消失する. 人では,腫瘍の大きさ,転移,エストロジェンリセプターと腫瘍による死亡率と生存率に関連しているとされている. この報告では,31頭の雌犬から外科切除された乳腺腫瘍の細胞診標本とと病理組織標本を用いてKi-67の免疫化学的検査を行った.増殖指数を(ー)から(+++)まで分類したところ,指数は悪性腫瘍が非悪性腫瘍よりも有意に高かった.そして,Ki-67増殖指数の高値を示す症例では,転移率と腫瘍による死亡率の増加と低い生存率を示した.また,細胞診標本と病理組織標本では,同様の結果であった.よって, Ki-67は,犬の乳腺腫瘍を含めた上皮系悪性腫瘍を免疫学的に検出する優れたマーカであり,より正確な診断を可能にし,予後や化学療法またはホルモン療法の指標ともなるであろう.細胞診標本を利用した場合には,より迅速に臨床応用できる.
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Inaccuracy of routine creatinine measurement in canine urine
30.犬における尿中クレアチニン測定濃度の誤差
Trumel C., Dique'lou A., Lefebvre H, Braun J.
Vet Clin Pathol.2004;33:128-132.


尿中クレアチニン濃度は,尿中蛋白:クレアチニン比や尿の希釈または濃縮の指標として使用されている. 今回の調査では,犬の尿104検体を20倍に希釈してkinetic Jaffe' reaction assayと酵素法によって測定した.酵素法は,動物病院で使用されている自動分析機Elimatとbenchtop analyzers (Reflovet, Scil; Vitros DT2, Ortho-Clinical Diagnostics; Vettest 8008, IDEXX)によって測定した.Jaffe' reaction assayと Elimatの酵素法では顕著な差がなく,benchtop analyzersはクレアチニン濃度が高いほどその誤差が大きくなった.特に2000mg/L以上の場合には誤差が顕著になり,Reflovet systemよりもmultilayer slide technology systems (Vitros and Vettest) の方がより高かった.その原因としては,希釈濃度が問題であろう.よって現在獣医医療において利用可能な尿中クレアチニン濃度測定法は,正確ではなく,尿中クレアチニン濃度が高いほど,その濃度を補正すべきであろう.
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Detection of neoplastic lymphocytes in peripheral blood of dogs with lymphoma by polymerase chain reaction for antigen receptor gene rearrangement
31.リンパ腫に罹患した犬の末梢血における異常リンパ球の抗原受容体遺伝子転位検査・ポリメラーゼ連鎖反応による検出
Keller RL., Avery AC., Burnett RC., Walton JA., Olver CS.
Colorado State University
Vet Clin Pathol.2004;33:145-149.

顕微鏡による白血球分類では100-200個の細胞を計測するために,リンパ腫の末梢血に異常リンパ球が出現する場合に異常リンパ球を見逃すことがある.そして細胞の形態特徴は主観的要素が入るために,正確でないことがある.抗原受容体転位 antigen receptor rearrangements(PARR)に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,異常再配列された免疫グロブリンと T-細胞受容体遺伝子の配列を増幅し,BまたはTリンパ球のクローン母集団clonal populationsを検出する感度が高い. この研究では多中心型リンパ腫ステージV以上の28頭の犬から末梢血またはリンパ節を採取し,PCRと顕微鏡検査を行い,それらの検出率を比較した.顕微鏡検査(ライトギムザ染色上で200個の白血球を計測)の結果を陰性(≦1%前リンパ球),equivocal不明確(>1%前リンパ球,リンパ芽球なし)または陽性(≧1%リンパ芽球)に分類した.顕微鏡検査では9検体(32%)の血液塗抹が陽性,7検体 (25%)が不明確,12検体 (43%) が陰性と分類された.PCR増幅法では,1または2個の独立バンドがみられたら陽性,バンドがみられなかった場合または不明確なバンドでは陰性とした.PCRでは,28検体中25検体が陽性(89%)であった.顕微鏡検査において陽性であった検体と不明確な検体の94%がPCR陽性であった.顕微鏡検査法によって陰性であった検体の83%が PCR 陽性であった.以上の検査結果からPCR を使用した異常リンパ球に検出は,顕微鏡検査よりも2.5倍多かった.よってPCR は,末梢血において異常リンパ球を発見する顕微鏡検査よりも感度が高いと思われる.この理由としては,顕微鏡検査では異常リンパ球を幼若リンパ球と分類し,それに対してPCRは腫瘍性クローンを増大することはなく,検査の感度が理想的な状態(91%)であるためであろう. PCR は,犬のリンパ腫において早期ステージの末梢血において異常リンパ球の検出が可能であり,リンパ球の表現型の決定,治療反応の管理,予後の予想,再発の確認と好発犬種に対するスクリーニング検査に有用であろう.
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Comparison of amylase and lipase activities in serum and plasma of dogs
32.犬における血清と血漿中のアミラーゼとリパーゼ値の比較
Me'daille C., Briend-Marchal A.
From the Laboratoire Vebiotel, Arcueil, France.
Vet Clin Pathol, 2004;33:155-158

血清または血漿中のα-アミラーゼとリパーゼの測定は,犬の急性膵炎の診断のために同時に行われている. 今回血清と血漿中のそれぞれの値を比較して,適切な検体を選択することを目的に調査した.検体はランダムに選択された101頭の犬から採取され,Passing-Bablock regressionとBland-Altmanプロットとによって比較され,検査値が補正された.リパーゼは,血清と血漿の値における相関関係は非常に高かったhigh correlation(r=.999).そして,アミラーゼにおいても高かった(r=.991).結論としては,犬における血清中と血漿中のリパーゼとアミラーゼ値は,ほぼ同じ値であった.

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Evaluation of the cytologic diagnosis of canine prostatic disorders
33.犬の前立腺疾患における細胞診の評価
Powe J R.,Canfield P J., Martin P A.
University of Sydney.University of Florida.
Vet Clin Pathol.2004;33:150-154

前立腺疾患に対する細胞診は,エコー下で採取されなかった検体においても病理組織学的診断と一致する確立が高かったと報告されている.よってこの報告では,シドニー大学,獣医学教育病院において1995 から2001年に検査されたより診断率が高いであろうエコー下における細胞診と病理組織学的診断との記録を懐古的に調査した.エコー下で行われた細胞診と同時に病理組織学的検査が行われた検体は16例(64%)であり, 診断が一致したのは75%であった.細胞診の結果は,非診断的(n=2);嚢胞(n=1);扁平上皮化生 (n=2);炎症(n=4 );過形成(n=5);炎症と過形成(n=3);炎症,過形成と腫瘍(n=1);炎症と腫瘍(n=3);腫瘍(n=4)であった.診断の一致しなかった検体は,病理組織学的診断によって診断された腫瘍細胞の数が少なかった2例,軽度の過形成の1例と移行上皮癌のgrade1の1例であった.これらの一致しなかった例は,細胞診では採取された病変部位の診断は正確であったが,全体の組織像が予想できなかったためであろう. 獣医学臨床における前立腺疾患の診断には,様々な有用性から細胞診が多用されている.今回懐古的調査を行ったところ前立腺疾患に対するエコー下における細胞診と病理組織学的診断と一致することが多いことが示唆された.

         要約:町田晴市(町田動物病院) 
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A Protocol to Guide Development of a Sensitive ELISA for Canine Erythropoietin
34.イヌエリスロポイエチンを測定可能なELISAの開発
Giampaoli S., Facciabene A, Mennuni C.
Vet Clin Pathol.2003;32:199ー201.

ヒト組換えEPO(hrEPO)の血中濃度を定量することは,慢性腎不全の犬などの治療効果を判定するのに必要である.しかし,現在可能な検査方法である放射免疫測定法とELISA (the human EPO ELISA) は特異性と感度が不十分と思われる.この研究目的は,臨床応用可能な簡易で感度の高い ELISA を開発することである. ELISA はマウスモノクロナル抗体 (mAb)とウサギポリクロナール抗体(pAb)によって構成されており, mAb を産生するpAb と多数の抗原ペプチド (MAPs)を産生するための遺伝子電気転移gene electrotransfer( GET )を使用した.測定は,イヌ EPOをプラスミドコーディングしているHeLa細胞から獲得されたEPOと犬の血漿中の濃度が確認されているイヌEPOを使用して行われた. イヌEPO濃度は7-66 mU/mlであり,変動係数は約10%であった.また,イヌEPOとhrEPOとの間の交叉反応は確認されなかった.よってGET と MAP技術は,イヌEPOの測定に対して臨床的に十分な感度と特異性を示した.そして,pAb #435との結合などを改善することにより,感度と正確性が向上するであろう.
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Vertebral telangiectatic osteosarcoma in a dog
35.犬の椎骨に発生した血管拡張性骨肉腫のT例
Brellou G., Papaioannou N, Patsikas M., Polizopoulou Z., Vlemmas I.
Vet Clin Pathol.2004;33:159-162

4歳齢の雄犬に 進行性の歩行障害がみられ,その原因は第7頸椎(C7)に発生した血管拡張性骨肉腫 Telangiectatic osteosarcoma と診断された.レントゲン検査では,骨溶解と硬膜外-髄外腫瘍が疑われた.剖検時の肉眼所見では,腫瘍の大きさは0.7×1.8cmであり,C7の右側から浸潤していた.病理組織学的検査では,多くの血液で満たされた血管内腔に腫瘍細胞が配列していた.その腫瘍細胞は,未分化な間葉系細胞であり,核分裂像がみられた.血管周囲には,類骨と破骨細胞に類似した奇怪な多核巨細胞が観察された.免疫組織化学検査では,腫瘍細胞はPCNA陽性,p53蛋白弱陽性,Ki67陰性,フォンウィルブランド因子陰性であった.以上の病理組織像と免疫組織化学検査の結果から,腫瘍細胞は血管ではなく,骨芽細胞由来であり,Ewingによる形態的分類である人の血管拡張性骨肉腫の同様の所見であった. この症例における免疫組織化学検査は,除外診断と診断に有用であった.
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Cutaneous lymphoma in a juvenile dog
36.若齢犬にみられた皮膚型リンパ腫の1例
Choi U S.,Jeong S M.,Kang M S.,Jung I S.,Kim D Y.,Lee C W.
Seoul National University
Vet Clin Pathol, 2004;33:47-49.

18カ月の雄のドーベルマンピンシェルに右前肢に1.5cm×1.0cmの紅斑性結節がみられた.FNAによる細胞診と病理組織検査によって皮膚型リンパ腫と診断された.免疫組織学的化学検査では,CD3陽性であり,CD79,E-cadherinとpancytokeratin陰性であった.これらの結果,ランゲル細胞とBーリンパ球が除外され,Tーリンパ球由来と診断された. 外科切除後18カ月再発はみられない.この報告は,若齢犬の皮膚に発生した単発性結節型リンパ腫のはじめての報告であろう.
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Serum alkaline phosphatase isoenzyme profiles in phenobarbital-treated epileptic dogs
37.犬のフェノバルビタール投与による血清アルカリホスファターゼ同位酵素への影響:てんかん治療時と健康時における同位酵素分析の比較
Gaskill C L., Hoftmann W E., Cribb A E.
Atlantic Veterinary College
Vet Clin Pathol.2004;33:215-222

てんかんに罹患している犬では,フェノバルビタール投与の有無に限らず,血清アルカリフォスファターゼ(AP)が高値を示すことが多い.この報告では,てんかんに罹患している犬と健康な犬において血清APを測定し,酵素の由来や有用性を調査した.測定は,てんかんに罹患しフェノバルビタール投与を受けている29頭の犬の血清中のAP同位酵素活性をgerm lectin precipitationとcellulose acetate affinity electrophoresisによって定性および定量測定した.この測定結果では,血清総AP活性増加はコルチコイド誘発同位酵素(C-AP)と肝臓同位酵素 (L-AP)の上昇によるものであった. しかし,これらの犬では新しいフェノバルビタール誘発性同位酵素unique isoenzymeは確認されなかった.また,フェノバルビタールを投与されている健康な犬においても,この新しいフェノバルビタール誘発性同位酵素の増加が認められない検体もあった.よって,このフェノバルビタール誘発性同位酵素分析法はフェノバルビタール投与とてんかんの病因による血清総APの高値の鑑別には,有用ではなかった.
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Essential Thrombocythemia in a Dog: Case Report and Literature Review
38.犬の本態性血小板増加症の1例:症例報告と文献報告
Bass MC., A. Eric Schultze AE.
The Department of Pathology (Schultze), College of Veterinary Medicine, The University of Tennessee.
J Am Anim Hosp Assoc 1998;34:197-203.

本態性血小板増加症は,造血前駆細胞に異常を起こす原因不明のクローン疾患である.すなわち骨髄増殖性疾患の一疾患であり,循環中の血小板数の増加と形態異常が持続するのが特徴である.犬と猫の末梢血の血小板数は,500xl09 /L,600xl09/L 以上とされている.特発性血小板増加症,原発性血小板増加症,原発性出血性血小板増加症,血小板症などは同意義である.本態性血小板増加症の診断は,血小板増加症を起こす他の原因を除外することによってなされる.まず一過性に血小板の増加を起こす生理的増加や反応性増加と骨髄中でクローナルに造血細胞が増殖する急性骨髄性白血病を除外することである.特に,巨核芽球性白血病とは区別されなければならない.臨床徴候は,無症状の場合と出血や血栓などを起こす場合がある. 本症例は,10.5歳齢のシーズが脱力,異食,粘膜蒼白で来院した.CBCから球状赤血球や血小板の増加と再生性貧血が認められ,直接抗グロブリン試験(クームズ試験)が強陽性であった為に,免疫介在性溶血性貧血と暫定診断された.治療はプレドニソンによって軽快し,中止された.しかし,血小板数の増加(577×103ー1200×103/μl)と形態異常がみられたので,骨髄検査をしたところM/E比の増加がみられたが,芽球率は正常範囲であり,巨核球系細胞は数と分化傾向も正常であった.直接抗グロブリンテストは,陰性であった.よって,本態性血小板増加症を疑いヒトの国際癌学会の真性多血症研究グループによって提唱されている本態性血小板増加症の診断基準によって診断を進めた.判定基準1である血小板数600,000/μL以上を満たし,判定基準2と3である血小板増加症を伴う真性多血症はヘマトクリット値が正常範囲なことから除外され,判定基準4はフィラデルフィア染色の欠如の証明であるが動物では検査不可能なために行わなかった,判定基準5である骨髄線維症は骨髄検査結果から除外され,判定基準6である生理学的血小板増加症と反応性血小板増加症の原因がヒストリー,身体検査,血液検査,血液化学検査,血漿トロンボプラスチン濃度測定,低用量デキサメサゾン抑制試験などによって除外された.その他の検査では,判定基準の1つである骨髄の鉄染色は陽性であった.以上により,本症例はヒトの本態性血小板増加症の診断基準を満たしており,本態性血小板増加症と診断された.治療は,ヒドロキシウレア投与によって行われたが,血小板数の反応は悪かった.ヒドロキシウレアに対する反応の悪さも診断を支持するものであった.その後甲状腺機能低下症による貧血がみられた為に,ヒドロキシウレアを中止し,甲状腺ホルモンの補給によって良好に経過した.そして血小板増加症が持続したが,異常な臨床徴候はみられなかった.

現在獣医医療における本態性血小板増加症は,除外診断によって診断されており,多くの症例の調査と精査が必要であろう.
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Effects of urinary tract inflammation and sample blood contamination on urine albumin and total protein concentrations in canine urine samples
39.犬の泌尿器疾患における尿中アルブミン濃度の測定法
Vaden S L.,Pressier B M.,Lappin M R.,Jensen W A.
Vet Clin Pathol, 2004;33:14-19.
North carolina state university,Colorado state university.

現在臨床の場では,泌尿器系の炎症疾患を確認するために尿試験用紙によって尿中蛋白の検出が行われている.しかし,尿中アルブミンUAlbを特異的に検出する方法はないようである.この報告では,ELISAを使用して正常尿,膿尿,血尿と細菌尿の70検体を用いて尿中アルブミンUAlb濃度と尿蛋白:クレアチンUPC比を測定した.結果として UAlb濃度が非常に低いものが67%, 高いものが数パーセント,UPC比が正常なものが 81%であった.また,UAlb濃度は顕微鏡下で赤血球が認められるときには増加したが,UPC比は増加しなかった.よって今回用いたELISAはUAlbの検出に有用であり,尿中にアルブミンが漏出する疾患には応用できるであろうと報告してる.
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Molecular methods to distinguish reactive and neoplastic lymphocyte expansions and their importance in transitional neoplastic states .
40.反応性リンパ球と腫瘍性リンパ球の分子生物学的鑑別法:腫瘍細胞への移行期における重要性
Avery PR.,Avery AC.
Vet Clin Pathol.2004;33:196-207

リンパ腫とリンパ球性白血病は細胞診と病理組織学的診断によって診断可能である.しかし,それぞれの検査において増殖しているリンパ球が反応性か腫瘍性か確定できないこともある.このような場合には,分子生物学的検査が有用である.分子生物学的検査には,免疫表現型の検出,細胞のクローン検査,染色体検査と 遺伝子発現プロファイリングGene expression profilingがあり,獣医医療では前2検査が通常検査として利用可能である.腫瘍性疾患における免疫表現型検査では,まず炎症と感染を除外して単一のリンパ球から異常な免疫表現型が検出される.細胞のクローン検査では,各種抗原による反応増殖では複数のリンパ球がみられるが,異常リンパ球では単一のリンパ球が検出されるはずである.染色体検査では,核型分析karyotypingと比較遺伝子ハイブリダイゼーションcompara-tive genome hybridizationによって異常がみられるが,腫瘍細胞が少ない場合と悪性度の低い腫瘍細胞では感度が低い.遺伝子発現プロファイリングGene expression profilingでは,人為医療で市販されているavailable Affymetrix chips (Santa Clara)が犬で利用可能であろう. 近い将来,分子生物学的検査は,獣医病理学者にとって必要な検査法となるであろう.
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Biochemical Markers of Bone Metabolism in Animals: Uses and Limitations
41.動物における骨代謝の生化学的マーカ:測定とその限界
Allen MJ.
Vet Clin Pathol, 2003;32:101-113
The Department of Orthopedic Surgery, State University of New York Upstate Medical University

人為医療で市販されている血清中と尿中の骨代謝の生化学的マーカ測定の利点は,CT,MRI,核シンチグラフィーと骨デンシロトメトリbone densitometryなどの発達した画像診断よりもリアルタイムに骨細胞の活動状態の指標になる.また,現在最も骨格の状態を正確に評価可能な骨生検材料を用いた病理組織学的検査に比べ侵略性がないことである.この検査は,血清中または尿中における骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨再吸収の細胞代謝活性マーカーの濃度を測定するものである.通常,骨形成マーカーと骨吸収のマーカーは,それぞれ血清中と血清および尿中に検出可能である.骨形成マーカーには,犬に交叉反応を示す骨特異性アルカリフォスファターゼ (BALP)( Metra BAP R )やOsteocalcin (Dog osteocalcin RIA R)がある.猫に関しては,現在交叉反応を示すものは確認されていない.骨吸収マーカ ー には,Pyridinolines (Metra DPDなど) , Collagen telopeptides (Serum ICTPなど)があり,キットのなかで犬と猫でそれぞれ交叉反応を示すものがある. Collagen telopeptidesにはNTX, CTXと ICTPがある. NTX と CTX は血清と尿において測定可能であり, ICTP は血清のみに使用される.骨マーカーには生物学的ばらつきがあるために,人の NTX とCTX の尿中濃度は,尿中のクレアチニン量によって補正されている.よって筋骨格疾患の診断には不十分なようである.しかし獣医医療においてもその利点を活かし,骨転移や骨髄炎などの重度の骨破壊疾患では治療後の反応を評価するのに応用可能であろう.
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Cytology of a mass on the meningeal surface of the left brain in a dog
42.犬における左脳の髄膜表面に発生した腫瘍の細胞診所見の1例
Sharkey LC.,McDonnell JJ.,Alroy J.
Tufts University School of Veterinary Medicine

11歳齢の去勢済みラブラドールーレトリバーにおいて2週間の部分発作,全般性発作と無関心が認められた.脳のMRIでは,視床レベルのT1-強調画像において左側頭葉と後頭葉の一部分の表面に不規則な腫瘤がみられた.左側吻側テント頭蓋切除術left-sided rostrotentorial craniectomy によって細胞診用検体と病理組織学的検体採取後,フェノバルビタールとプレドニゾンによって治療された.腫瘤全摘出は不可能であった.塗抹標本では大小の多面体の神経細胞が独立したり,集塊を形成したりしていた.神経細胞はN/C比が高く,好塩基性の強い細胞質,点状のクロマチン結節と大きな一つの核小体がみられた.特徴的所見として,明瞭な好塩基性顆粒がみられた.細胞診では,これらの所見から髄膜腫が疑われた.病理組織学的検査では,脳実質を圧迫する大形の多角形細胞がシート状に形成されていた.細胞内顆粒は過ヨウ素酸シッフ反応(PAS),S-100蛋白とユビキチン染色は陽性であった.部分的にジアスターゼ耐性であり,ビメンチン染色は陰性であった.腫瘍細胞の電子顕微鏡検査では,多くの二次性リソソームが認められた.細胞診と病理組織学的診断における特殊染色と腫瘍の形態から髄膜顆粒細胞腫と診断した.その細胞内顆粒は,リソソームの蓄積の結果であった.この症例の特殊染色の結果は,以前に報告されている犬の髄膜顆粒細胞腫の2例と同じであり,髄膜顆粒細胞腫を支持するものであった.
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Protein-losing enteropathy in dogs is associated with decrease fecal proteolytic activity
43.蛋白喪失性腸症の犬における糞便中の蛋白質活性度の測定結果
Ruaux C G.,Steniner J M.,Williams D A.
Vet Clin Pathol, 2004;33:20-22.
Texas A&M University.

この調査では蛋白喪失性腸症Protein-losing enteropathy(PLE)の犬と健康な犬の 糞便中の蛋白質活性度をELISAによるイヌα1蛋白酵素阻害物質α1-proteinase inhibitor(α1-PI)濃度と半定量法である放射性散在性カゼイン消化検査radial diffusion casein digestionによる透明帯の直径the diameter clearedを測定して比較検討した.α1-PIは血中に存在する蛋白分解酵素阻害因子であり,分子量がほぼアルブミンと同じであるために,通常蛋白漏出性腸症では腸管から糞便中に出て蛋白質分解酵素活性を低下させる.しかし,今回の検査結果ではイヌα1-PIの濃度が増加した検体でも蛋白分解酵素活性の上昇を示唆するカゼイン透明帯の直径が減少する検体がみられた. これらの検査方法ではPLEと正常な糞便中のイヌα1-PI濃度と蛋白質活性度において相関性が認められず, PLEや膵外分泌機能不全Exocrine pancreatic insufficiency (EPI)の検査法である血清トリプシン様免疫活性Trypsin-like immunoreactivity(TLI)よりも特異性が低いと考察された.
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Molecular cloning and expression of canine hepcidin
44.犬におけるヘプシジンの分子生物学的クローニングと発現
Fry MM., Liggett JL., Baek SJ.
Department of Pathobiology, College of Veterinary Medicine, University of Tennessee
Vet Clin Pathol, 2004;33:223-227

ヘプシジンは,抗菌作用と体内への鉄吸収を調節する機能を持つ急性期蛋白である.臨床的に重要な点は,慢性炎症による貧血時に体内における鉄吸収を制御していることであろう.この研究では,犬の肝臓組織を用いてStandard reverse transcription polymerase chain reaction techniquesとWestern blot analysisによってアミノ酸配列が決定された.その結果,犬と人のヘプシジンには相同性homologousが認められた.
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Stomatocytosis in 7 related Standard Schnauzers
45.7頭の血縁関係のあるスタンダード・シュウナイザーにみられた口唇状赤血球症の調査結果
Bonfanti U., Comazzi S., Paltrinieri S., Bertazzolo W.
Universita di Studi di Milano, Italy
Vet Clin Pathol.2004;33:234-239

犬の遺伝性口唇状赤血球症は,常染色体劣性遺伝であり,アラスカンマラミュート,Drentse Patrijshond,ミニチュア・シュナイザーで報告されている.これは,人の水分過剰な口唇状赤血球症overhydrat hereditary stomatocytosis またはDrentse Patrijshondsでみられる水で満たされた口唇状赤血球症hydrocytosisと考えられており,膨化した赤血球(形態的には赤血球のセントラルペイラーにスリットがはいったのようにみえる)としてみられる.この報告では,血液塗抹上において口唇状赤血球が確認された7頭の血縁関係のあるスタンダードシュウナイザーにおいて,自動血液検査機器による赤血球恒数と血小板パラメータの測定,赤血球の脆弱度検査,赤血球内Na+, K+と2,3-diphosphoglycerate(2,3-DPG)測定が行われた.結果としては,大赤血球症(80.0±4.2fL, 正常範囲60-76fL),MCHCの減少(29.3±0.8g/dL,正常範囲32-39g /dL) ,わずかな赤血球分配幅RDWの増加 (17.3 ±0.4%,正常範囲12-16%)と網状赤血球数の増加(1.55±0.77%,正常範囲<1%)がみられた.血液塗抹上の口唇状赤血球の割合は,赤血球2000個以上では0.6-18.9%と増加していた.赤血球脆弱度と細胞内Na+ (138.1±3.2 mmol/L; controls 99 ±6.1 mmol/L), K+ (8.1±0.8 mmol/L; controls 6.1 ±0.5 mmol/L),2,3-DPG (21.9 ±2.0 μmol/g Hb; controls: 14.6 ± 3.3 μmol/gHb)濃度が増加していた.これらの結果は,犬で報告されている遺伝性口唇状赤血球症の主な原因である赤血球膜の透過性亢進による所見に一致するものであった.よって,スタンダード・シュウナイザーにおいても遺伝性口唇状赤血球症の存在が示唆された.
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Mixed Ehrlichia canis, Hepatozoon canis, a n d presumptive Anaplasma phagocytophilum infection in a dog
46.犬におけるエーリッヒア・カニス,ヘパトゾーン・カニスとアナプラスマ複合感染の1例
Mylonakis ME., Koutinas AF., Baneth G., Zoe Polizopoulou Z., Fyiianou A.
Vet Clin Pathol. 2004;33:249-251

5カ月齢,雌の在来種犬に抑うつ,食欲不振,発熱,末梢リンパ節腫大,脾腫,眼鼻分泌物,非再生性貧血と軽度の血小板減少症がみられた.バフィコート,骨髄,リンパ節の細胞診において単核球と好中球内にエーリッヒア・カニス,ヘパトゾーン・カニスとアナプラスマが確認された.エーリッヒア・カニスとヘパトゾーン・カニスに対する免疫螢光染色検査( IFA )とELISA をそれぞれ行ったところ,抗体陽性であった.アナプラスマ(E equi)に対するIFA は陰性であった.骨髄吸引生検材料を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,E canis に対して陽性であった.アナプラズに対するPCR検査は行われなかった.治療は,ドシキサイクリンと imidocarb dipropionate (Imizol, Essex Animal Hea] Friesoyth, Germany)の治療によって臨床徴候が無くなり,寄生虫も駆除できた. 犬のマダニを媒介とする複合感染症は診断に苦慮する.確定診断には臨床徴候,臨床病理学的検査,抗体検査と分子生物学的検査を総合的に考慮して行われている.E canisに罹患した50頭の犬における急性期における細胞診による検出率は 34-66%であったと報告されている.しかし,今回の症例ではすべての病原体が細胞診によって確認されたために,急性期における診断には細胞診の有用性を支持するものであった.
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Mycobacterium tuberculosis infection in a dog from Africa
47.犬にみられたヒト型結核菌症の1例
V. Turinelli v., D. Ledieu D., Guilbaud L., Marchal T., Magnol JP.Fournel-Fleury C.
Vet Clin Pathol.2004;33:177-181

アフリカで育ったボクサー犬に嘔吐,下痢,体重減少と吸気性呼吸困難などの非特的な臨床徴候がみられた.レントゲン写真では胸水,気管支リンパ節と肝臓の腫大があり,胸水と肝臓の針吸引生検では活動型マクロファージの細胞質内に無染色の杆体生物がみられた.形態はマイコバクテリウムに類似していた.そして病理学的組織検査所見では,肉芽腫性肝炎,肉芽腫性肺炎,肉芽腫性リンパ節炎と肉芽腫性腎炎がみられた.以上の所見から結核菌を確認するために,肝臓とリンパ節の肉芽腫性病変の細胞診検体と病理組織検体をチール‐ネールゼン染色を行ったところ,抗酸性陽性の細菌がみられた.また胸水培養では,結核菌が培養された. よって細胞診は,結核症の診断に有用な検査法の一つであると報告されている.
要約:町田晴市(町田動物病院)
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Feline bone marrow transplantation its use in FIV-infected cats.
48.猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症の猫における骨髄移植
Yamamoto J K.,Pu R.,Arai M.,Pollock D.,Irausquin R.,Bova F J.,et all.
Vet.Immunol.Immunopathel 65 1998 323-351

FIV陽性(+)の猫の免疫を再構築させる治療法として骨髄移植を行なった.FIV陰性(−)とFIV(+)のSPF猫,それぞれ6頭と7頭合計13頭の猫において自家骨髄移植と同種骨髄移植を行った.MHC(主要組織抗原複合体)の適合は混合リンパ白血球反応(MLR)によって行なわれ,ドナーとレシピエントの組み合わせはMLR分析によって一致された.前処置は900cGyの全身照射を行って骨髄低形成の状態を作成した.方法としては回転するプラスチックケージに猫を入れて,6MeVライナック0.2Gy/45minで行った.組織適合性と移植の生着を確認するためにMicrosatellite genotyping(Menotti-Raymond and O'Brien,1995;Schwartz et al,1995;Wagner et al,1996)を使用した.移植後の免疫抑制剤としてはプレドニソンと,またはサイクロスポリンAを使用して1年以上の生存を確認した.結果としてはFIV(+)猫を骨髄移植したところ, CD4/CD8比の逆転がみられた.しかし,末梢血単核球にはFIV感染が認められた.
要約:町田晴市(町田動物病院)
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