日本臨床獣医学フォーラム
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肝疾患関連 文献(要約):町田晴市(町田動物病院)
1.炎症性肝疾患の管理の最新情報
Burrows,C,F,.
Proc.Am.Anim.Hosp.Assoc.1997


急性,慢性肝疾患は,原因が不明なことが多く, その治療は主に対症療法と2次的な合併症をコントロールする支持療法である.安静は,痛みと倦怠感の減少,肝血流量増加であり, 肝疾患の管理上重要である.急性肝疾患では,脱水とショックに対する輸液が必要であり,乳酸を代謝できないことが多いので,輸液剤は0.45%生理食塩水,塩化カリウムを加えた2.5%肝臓用ブドウ糖液を使用する.食餌は,蛋白異化を防ぐ為に,生物価の高い蛋白質と十分な炭水化物を適切な量だけ含む食事を選択する.脂肪は,エネルギー源,必須脂肪酸,脂溶性ビ タミンの添加に対する媒体としての供給, 嗜好性の改善を目的に与えられる.特に肝性脳症の患者には,低蛋白食が必要である.供給方法としては,少量を頻回に与えることが基本であり,食欲のない患者にはチューブによる各種の強制給 餌が必要である.抗生物質は細菌の2次感染を防ぐために使用され, 特に化膿性肝炎、化膿性胆管肝炎の原因療法と肝性脳症の対症療法に有用である. 慢性炎症を伴う肝臓疾患,銅の貯蔵疾患では, 炎症と線維化の抑制と調節の為に抗 炎症薬が使用される. 特に,グルココルチコイド, アザチオプリン, サイクロホスファマイドを組み合わせて使用されることが多い. レスキューとして使用されるメトトレキセート,サイクロスポリン,コルヒチンは,その効果につい てはさらに調査結果を待つ必要がある.D‐ペニシラミンは,銅キレート剤であり,銅貯蔵疾患の治療に有効である.胆管炎では,ウルソデオキシコール酸による胆汁排泄の促進,凝固因子の合成を増強するビタミンK1が使用される. ファ モチジン,ラニチジン,スクラルフェート等の粘膜保護剤は,肝疾患による胃粘膜の破壊時に使用される.猫では食欲刺激剤が使用されているが,その効果は疑問である. 腹水の治療は,ケージレストとナトリウム制限が原則であり,低蛋白血症時には血漿輸液,腹水による呼吸抑制時にはスピロノラクトとフロセミドを組み合わせて行なわれる.肝性脳症の対症治療には,結腸のアンモニア産生を減らすために,ラクツロースとネオマイシンの経口投与が有効である.
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2.診断のための肝臓の細胞診
Raskin, R,E. Am.. Anim.Hosp.Assoc.1999. Scientific Presentations of the 66th Annual Meeting:85-88


臨床獣医師は好んでエコー検査を併用して肝臓の細胞診を行っているが,この診断法を理解しておく必要がある.肝生検の適用は,肝腫大,画像診断の異常,肝酵素の上昇,肝機能の異常,腫瘍の疑いなどである.生検は,出血傾向,低蛋 白血症などがある場合には禁忌である.生検方法には試験開腹による方法,小切開による方法があり,それぞれ出血傾向のチェック,外科的切除や腹腔鏡検査が利用できる.盲目的生検法は,脂肪肝,ステロイド誘発性肝疾患と独立円形腫瘍 などの診断に限定される.吸引生検に使用される針は通常22ゲージの針または脊髄針が使用されるが,Menghini 針と Jamshidi 針なども使用することがある.生検針には,Tru-Cut,VimSilverman /Franklin型,Biopty型がある.一般的な 生検部位は左の肝小葉であり, 剣状軟骨の遠位端と肋骨弓の間に挿入する. 生検材料からのスライド制作法には,タッチインプリント法,ガラスで押しつぶす方法,ガラス上で転がす方法,塗抹法などがある.染色は通常ライトギムザ染色 が使用されるが,必要に応じてオイル - レッド - やニューメチレンブルー染色が追加されることがある.またプルシアンブルー染色,ホール法染色,ルベアン酸染色,PAS染色,グラム染色,コンゴーレッド染色などの特殊染色を行うこともある. 肝臓の細胞診では,正常,変性(水腫性変化は酸素欠乏または中毒性肝障害が,脂質変化は肝リピドーシスが示唆される),過形成または腺腫,色素の異常,炎症,悪性腫瘍,髄外造血と診断不可能な検体などと診断される.また,壊 死,細菌感染,猫の化膿性胆管肝炎,猫のリンパ球性胆管肝炎と化膿性肉芽腫性炎症に関連した疾患も診断可能な時がある.細胞診によって診断できない時に,病理組織診断によってその治療法が変わるようであれば,病理組織診断を行うべ きである.
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Diagnostic Imaging of Biliary Obstruction
3.胆道系閉塞の画像診断
Smith,S,A., Biller,D,S., Kraft,S,L., Goggin,J,M.,et al Compend.Contin.Educ.Pract.Vet.1998.20.11


黄疸の原因である胆道系閉塞の診断には,臨床症状,血液検査,尿検査と画像診断が必要とされるが,なかでも特に画像診断が有用である.レントゲン単純撮影と造影撮影(静脈胆嚢造影と経皮的胆嚢造影)によって診断可能な疾患である が,特異性は少なく,造影剤による副作用(アナフィラキシー,嘔吐,高ビリルビン血症と出血傾向など侵略性の増大)も考慮しなければならない.超音波検査は,侵襲性もなく,現在臨床上最も利用価値の高い方法である.但し, 現在と 過去の胆道系閉塞を区別できない,解剖学的に全ての胆道系を描き出すのが困難な時があるなどの欠点がある.
シンチグラフィーは,現在利用可能な施設は少ないが,肝胆道系閉塞を特異的に診断できる.診療用放射性同位元素にはtechnetium-99m-diisopropyl-phenylcarbamoylmethyliminodiacetic acid (99mTc-dis-ofenin)があり,肝細胞内で抱合され,胆汁として排泄される.よって,99mTc-disofeninはビリルビンと競合するので,重度の高ビリルビン血症時には排泄が減少する. また,放射性同位元素を使用するために,動物を取り扱う時間が制限され,撮影後すぐには外科手術ができない.
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Acquired portosystemic shunting in two cats.
4.猫における後天性門脈体循環シャントの2例
Langdon,P.Cohn,L,A.,Kreeger,J,M.,Priddy,N,H. J Am Anim Hosp Assoc 2002;38:21-27.


人および犬における後天性門脈体循環シャントは,通常肝実質疾患による長期的な門脈圧亢進症によって形成されることが多い.肝硬変はその代表的疾患であり,再生性の結節形成などによって長期間の類洞の圧迫と肝性門脈圧亢進症に対する結果として発生する. 猫では,肝硬変からの回復が不可能なために,その発症の可能性は非常に少ないであろう. 今回,病理組織学的診断によって診断された門脈線維症Portal fibrosisの2症例において,試験的開腹によって複数の肝外性門脈体循環シャントが確認された.よって,猫では門脈線維症によって後天性門脈体循環シャントが起こり得る.症例1では原因の特定ができなかったが,症例2では長期間の胆石の関与が疑われた.治療は,シャント血管の結紮は内臓のうっ血を永続的に起こすために,対症療法が望まれる.
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